○安全運転乗務規程

昭和55年4月1日

訓令第2号

第1条 運転士は、関係交通法規を遵守して、安全かつ正確に自動車を運転し、旅客の円滑な輸送に努めなければならない。

第2条 運転士は、常に技術の向上、技術の錬磨に努め車両を愛護し、その性能を保持するとともに消耗資材の節約を図らなければならない。

(点呼)

第3条 運転士は、特に定められたる場合の外、乗務すべき自動車の出発時刻より15分前に出勤し、所定の出務表に押印又は記名し、運行前点検を実施して運行管理者の点呼をうけなければならない。点呼を終了したときは、自己の時計を標準時に合わせておかなければならない。

第4条 運転士は、点呼の際、睡眠状態、身体状況を報告しなければならない。当日の仕業に対し、仕業中必要な業務上の注意事項、乗務自動車の状態並びに習性、道路の状況その他必要な事項を運行管理者より聞かなければならない。

第5条 運転士は、仕事を終つたときは自動車の状況、道路の状態その他必要事項を運行管理者に報告し、仕業日報、運転日報を提出しなければならない。仕業終了の際、翌日の勤務について指示を受けなければならない。

(運行前点検)

第6条 運転士は、1日1回その運行の開始前、次の事項に注意して点検し確認しなければならない。

(1) 蓄電池の電解液の漏れの有無、蓄電池端子のゆるみの有無、接触状態

(2) 操縦装置の運動部の損傷の有無及びガタ

(3) 車両のクリツプボルト及びハブボルトの締付状態

(4) タイヤレツドの損傷、バルブキヤツプ、車両サイドリンクの変形及びサイドリンクの嵌入部の腐食の有無並びにタイヤの空気圧力

(5) 制動装置の配管及び運動部各部についての油漏れ及び損傷の有無

(6) ばね、その他の懸架装置各部のゆるみ及び損傷の有無

(7) 車枠車体及び連絡装置各部のゆるみ及び損傷の有無

(8) 燃料装置各部の燃料漏れの有無

(9) 車両備付品及び運転者携帯品

(10) ハンドルの遊び操作具合

(11) 原動機のかかり具合、振動の状態、異音の有無、排気の色及び臭気並びに漏れの有無

(12) 電流計の指示による発電機の充電作用

(13) 灯火の点滅並びに方向指示器、窓拭器、警音器及び後写鏡の作用

(14) クラツチ及び変速機の作用

(15) 手ブレーキ及びブレーキのきき具合

(16) 空気制動装置の空気、タンク内の水の有無、配管、各部の空気漏れの有無及び圧力計による空気圧力

(携帯及び備付)

第7条 運転士は、仕業前自動車運転免許証の携帯、自動車登録証、車両検査証及び保険証の備えつけてあることを確認し、乗務中これを携帯又は備え付けておかなければならない。

第8条 運転士は、乗務中常に運行路線の運転基準図を携行しなければならない。

第9条 運転士は、バス内に応急修理のために必要な器具及び部品を備えるとともに、踏切を通過することとなるときは赤色旗、赤色合図灯等の非常信号用具を備え付けねばならない。

(乗務制限)

第10条 運転士は、疾病、疲労その他の事由により安全な運転ができないおそれがあるときは、その旨運行の管理者に申出なければならない。

第11条 運転士は、すべて指定された行路表によつて乗務する以外、みだりに運転してはならない。ただし、必要の場合は運行の管理者の許可を得なければならない。

第12条 運転士は、運行の管理者の許可がなければ自分の勤務を他人と交代し、又は他の車両を使用してはならない。

(乗務準備)

第13条 運転士は、乗務に先だち、次の事項を確実に実施しなければならない。

(1) ブザーの設備あるものはその機能を確かめておくこと。

(2) 非常口の設けてある自動車に対しては、その完全な事を確かめておくこと。

(3) 所定の位置に氏名名札を掲げておくこと。

(4) 方向幕の正否を確かめること。

(発車操作)

第14条 運転士は、発車の直前に警音器を吹鳴しなければならない。

第15条 運転士は、出発の際衝動を与えないよう、円滑に発車しなければならない。

(乗務中の禁止事項)

第16条 運転士は、運転中次に掲げる行為をしてはならない。

(1) 別表の車内持込禁止の物品及び業務上必要な物品以外、みだりに携帯又は車内に持ち込むこと。

(2) 酒気を帯びて乗務すること。

(3) 運行時刻前に発車すること。

(4) 喫煙放歌すること。

(5) 職務を遂行するために必要な事項以外の事について話をすること。

第17条 運転士は、運転士席に他人を入れてはならない。

第18条 運転士は、許可なくして眼鏡を使用し、又は頭巾襟巻、その他運転操作に円滑を欠く服装をしてはならない。

第19条 運転士は、タイヤのパンクその他の故障により圧力が堪えないような状態で運転を継続してはならない。

(踏切の通過)

第20条 運転士は、鉄道、軌道の踏切を通過するに際しては、次の事項を遵守しなければならない。

(1) 踏切の手前で一旦停車して通行の安全を確認すること。

(2) 警報装置のないとき、又は踏切警手の出務しておらないときは車掌に連絡して、車掌の地上誘導に従うこと。

(3) 踏切上において変速しないこと。

(4) 踏切上において運転不能にならないよう注意すること。

(5) 故障によつて踏切内で運行不能となつたときは、すみやかに旅客を誘導して退避させるとともに、列車に対し適切な防護措置をとること。

(停留所通過)

第21条 運転士は、途中停留所において満員のため乗車不能により通過するときは、必ずその旨を告げなければならない。

第22条 運転士は、途中停留所通過の際は必ず徐行し、乗客のないことを確認しなければならない。

(運転操作)

第23条 運転士は、道路交通法令並びに業務上の指示による運転速度の制限を厳守しなければならない。

第24条 運転士は、運転中危険を感じたときは、直ちに停車しなければならない。

第25条 運転士は、安全を確認せずして左右にハンドルを切つてはならない。

第26条 運転士は、自動車の性能、路線の状態等を考慮し、これに適応するよう運転し、運転時刻の正確を期さなければならない。

第27条 運転士は、運転中常に操向装置、機関その他自動車の状態に注意しなければならない。

第28条 運転士は、坂路においてバスから離れるとき及び安全な運行に支障がある箇所を通過するときは、旅客を降車させなければならない。

第29条 運転士は、運転中燃料の節約、適正な運転の目測に注意しなければならない。

第30条 運転士は、他の自動車と行違等自動車を道路の側方へ移動するときは左右方向の路面の傾斜、特に路肩部の軟弱に対し、危険のない箇所を選ばなければならない。

第31条 運転士は、断崖、橋梁、見透しのきかない屈曲部、凍結、積雪の路面坂路、その他危険な箇所は速度の低下、警音器の吹鳴等により、安全な運転をしなければならない。

第32条 運転士は、夜間の運転及び隧道内等の運転に際しては、定められた灯火を点灯しなければならない。夜間とは日没から日出までとする。

第33条 運転士は、危険避難の場合の外、停車に際しては、衝動を起さないような円滑な扱いをしなければならない。

第34条 運転士は、自動車の傾斜したときは、旅客の押力が低位の方向に向わないように注意を与えなければならない。

第35条 運転士は、凸凹のある路面においては自動車に振動を与えないよう心懸けなければならない。

(異常の発見及び処理)

第36条 運転士は、運転中危険防止に最大の注意を払い、機関部、車体の音響並びに震動により車両の異状の有無に注意しなければならない。

第37条 運転士は、運転中当該自動車の重大な故障を起すおそれがあると認めたときは、直ちに運行を中止しなければならない。

第38条 運転士は、運転中当該路線に異常を発見したときは、その状態を詳細に関係箇所に通告しなければならない。

(事故の措置)

第39条 運転士は、諸規定を遵守して、運転事故の絶無を期さなければならない。運転中事故の発生したときは、沿道の人の救援を求め、或は救援自動車を呼ぶ等、速やかに臨機の処置をし、別に定める規定に従い速やかに関係箇所に報告しなければならない。特に人身事故に於ては、病院に収容、警察署に連絡など、迅速かつ冷静に旅客の生命を保持するための処置を他の処置に先んじてしなければならない。

第40条 運転士は、車両の故障を発見したとき、必要に応じて臨機の措置をとるとともに、運転不能の場合は、これを上長に報告し、その指示を受けなければならない。

第41条 運転士は、故障等により運転不能又は遅延するような場合は、旅客に報告しなければならない。

第42条 運転士は、火災事故の起らぬよう細心の注意をしなければならない。若し、火災発生の際は、消火器を用い消火に努めるとともに、旅客を混乱に陥れないよう適切な指示をしなければならない。

第43条 運転士は、非常の場合、非常口の開扉に努めなければならない。この場合乗客の協力を求めようとするときは、速やかに扱いを指示しなければならない。

(乗務の引継)

第44条 運転士は、乗務を終了したときは、交替する運転士に対し、乗務中の当該自動車及び路線の状態を詳細に通告しなければならない。この場合交替した運転士は、当該自動車のかじ取装置、制動装置その他の重要な部分の機能について点検すること。

(終業)

第45条 運転士は、乗務を終つたときは、別に定める仕業整備基準及び仕業整備検査順序に準拠し、必要な点検注油をしておかなければならない。

第46条 運転士は、冬期終業に際しては、冷却水を抜かなければならない。

(私金携帯の禁止)

第47条 運転士は、勤務中、運行の管理者の許可を得なければ私金を携帯してはならない。

(熟知事項)

第48条 運転士は、乗務路線における次の事項を熟知しておかなければならない。

(1) 停留所の位置、名称、待避所、道路幅員、路面の良否、屈曲その他の交通状態等

(2) 運転時刻

(3) 医師、警察署又は派出所、駐在所、郵便局、電話、自動車整備工場等の所在地

(4) その他著名なる神社、仏閣、学校、会社、工場又は名所、旧蹟等客貨の多数参集する場所

第49条 運転士は、自動車に設置されている非常口及び消火器の取扱について熟達しなければならない。

(その他)

第50条 運転士は、車両、燃料、部品、タイヤ等の火災盗難について、適切な予防措置を講じなければならない。

第51条 運転士は、勤務中指定された時間を除いては、車両の清掃(洗車を含む。)、整備調整(注油を含む。)に従事しなければならない。

(車内の案内及び呼称)

第52条 運転士は、次の場合適宜のときに旅客に対し発車到着等、その他必要の案内及び応答をしなければならない。

(1) 始発地発車の場合

(2) 停留所に近づいたとき及び到着のとき。

(3) 終着地に近づいたとき及び到着のとき。

(4) 道路の凸凹、屈曲その他の理由で乗客に注意を喚起しなければならないとき。

第53条 運転士は、終着地において車内外を清掃し、常に清潔に努めなければならない。

第54条 運転士は、終着地においては乗客の下車後、直ちに車内を見廻り遺失物その他の異状の有無を確かめなければならない。

第55条 運転士は、乗務が終了したときは、所定の様式により発売乗車券及び収入金並びに集札を正しく報告、提出しなければならない。この場合、収入金に過不足を生じたときは、その旨をありのままに記載報告しなければならない。

この規程は、公布の日から施行する。

(令和4年4月1日訓令第1号)

この訓令は、令和4年4月1日から施行する。

別表(第16条関係)

1 火薬類(火薬類取締法(昭和25年法律第149号)の火薬類をいう。ただし、50発以内の実包及び空包であつて、弾帯又は薬ごうにそう入してあるものを除く。)

2 100グラムをこえる玩具用煙火

3 揮発油、灯油、軽油、アルコール、二硫化炭素その他の引火性液体(喫煙用ライター及び懐炉に使用しているものを除く。)

4 100グラムをこえるフイルムその他のセルロイド類(ニトロ・セルローズを主材とした生地製品、半製品及びくずをいう。)

5 黄燐、カーバイト、金属ナトリウムその他の発火性物質及びマグネシウム粉、過酸化水素、過酸化ソーダその他の爆発性物質

5の2 放射性物質等(核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(昭和32年法律第166号)第2条第2項の核燃料物質及び放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律(昭和32年法律第167号)第2条第2項の放射性同位元素並びにそれらによつて汚染された物であつてその放射能濃度が0.002マイクロキユリー毎グラム以上のものをいう。)

6 苛性ソーダ、硝酸、硫酸、塩酸その他の腐食性物質

7 高圧ガス(高圧ガス取締法(昭和26年法律第204号)の高圧ガスをいう。ただし、消火器内に封入した炭酸ガス及び医薬用酸素器に封入した酸素ガスを除く。)

8 クロル・ピクリン、メチル・クロライド、液体青酸、クロロ・ホルム、ホルマリンその他の有毒ガス及び有毒ガスを発生するおそれのある物質

9 500グラムをこえるマツチ

10 電池(乾電池を除く。)

11 死体

12 動物(愛玩用の小動物を除く。)

13 事業用自動車の通路、出入口又は非常口をふさぐおそれのあるもの

14 前各号に掲げるもののほか、他の旅客の迷惑となるおそれのあるもの又は車室を著しく汚損するおそれのあるもの

安全運転乗務規程

昭和55年4月1日 訓令第2号

(令和4年4月1日施行)